マニュアルフォークリフトのクラッチ不具合
マニュアル式フォークリフトをお使いの方でしたら
クラッチペダルをしっかりと踏み込んでも
何だかギヤが入りにくくなってきた。という経験はありませんか?
そんなマニュアル式フォークリフトのクラッチに関する不具合の症例と修理をご紹介します。
今回、クラッチの不具合が出てしまったフォークリフトは
コマツ製 16型 2.0トン ガソリン式フォークリフト
稼動時間は少ないのですが10年ほど使っているフォークリフトです。
毎朝の始業点検を行っているときにギヤが入りにくいと気付いて、すぐに修理の依頼をいただきました。
早速、修理に取りかかるために移動をかねて症状の確認をしてみます。
スパッとクラッチペダルを踏むと、前後進のレバーもスピードセレクタのレバーも
わずかなひっかかりは感じますが操作はできました。
しかし、ゆっくりクラッチペダルを踏むとレバーが押し込めずギヤが入りません。
クラッチレリーズシリンダーの動きを確認してみると、ゆっくりクラッチペダルを踏み込んだときは
正常時の半分ほどもクラッチレリーズシリンダーが動いていません。
油圧がきちんと伝わっていないようですね。
外見はとくに異常は見られませんが…
クラッチレリーズシリンダーのブーツの中はっ!
フルードが漏れ出ています。修理箇所発見です!
クラッチレリーズシリンダーの中を確認してみると、
ゴム製のピストンカップに萎縮と変形がありました。
クラッチレリーズシリンダーがこのような状態ならば、クラッチマスターシリンダーも心配です。
(上:取り外したピストン 下:新品のピストン)
やはりクラッチマスターシリンダーもゴム製のピストンカップが萎縮し変形しています。
こちらも修理が必要です。
新品の部品と比較してみると、その違いがよくわかります。
これではしっかりと油圧を送ることも、作動することもできませんね。
このフォークリフトは以前にクラッチマスターシリンダーと
クラッチレリーズシリンダーの修理を実施したとうかがいました。
ですが前回の修理からは5年ほど経っているようなのでこうした劣化が出てしまったのですね。
今回の修理内容はクラッチマスターシリンダーのオーバーホールと
クラッチレリーズシリンダーはシリンダー内壁にサビが見られたので一体で交換をしました。
最後にフルードのエア抜きを行って修理完了です。
フォークリフトの始業点検を毎日行っていただいているおかげですぐに修理対応ができ、
事故やトラブルを未然に防ぐことができた良い例だと思います。
また、一年ごとに行う特定自主検査(年次検査)、一月ごとに行う定期自主検査(月次検査)も行い
フォークリフトの状態を把握することが、安全な日々の運行につながります。
ピー・シー・エスではフォークリフトの修理はもちろん、
有資格者による定期自主検査もお受けしています。
「そういえばフォークリフトの定期自主検査を忘れていた」
「フォークリフトを預けなくても定期自主検査はできるのかな?」など
フォークリフトの定期自主検査についてご不明な事がありましたら、気軽にご相談ください。
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました!
今回のブログは花粉症による漏れに悩まされている本社サービスの久保田がお送りいたしました。