こんな会社にしたいという会社

2011年6月23日放送のテレビ東京カンブリア宮殿で、
この会社はすごい!こんな会社にしたい!と思える会社と出会いました。

さらば安売り! 効率至上主義を捨て、時代の最先端を行く
~スカイツリーから極小部品までを手がける職人集団~

東海バネ工業株式会社


(画像と同社は関係ありません)

日本にバネを製造する会社が3000社もあることにびっくり。
その中で、この東海バネ工業は、正直、売上高も資本金も社員の数も、
我々ピー・シー・エスとそう大きくかけ離れているわけではありません。

しかし、同社のバネは現在建設中の東京スカイツリーの先端に取り付けられている制震装置や、
瀬戸大橋の免震装置など、とてつもなく高い信頼性が必要とされる場所に使用されています。

その理由は、「東海バネ工業にしか作れないから」。

そんな同社も最初は普通のバネ屋さん、
つまり大手の下請けでバネを大量生産する普通のバネ工場でした。
しかし、付加価値のない商品は価格勝負、大手からコストダウンを迫られると値引きせざるを得ません。
そんな状況に危機感を感じていたなか、
業界団体でドイツの職人の世界を視察旅行に訪れた際に、
現地のバネ職人に質問したのが、「商談の過程で値引きを言われたらどうするんですか?」。
ドイツのバネ職人の回答は明快でした。
「値引きを要求されたら、それ以上商談を進めません。」

視察から帰国した渡辺良機社長は、工場の大半の面積を占めていた大量生産用のバネ製造設備を
いきなり廃棄、オリジナルの大型バネ製造装置を導入し、
この機械+手作りで超高品質バネの製造を開始しました。

「挑戦!世界最強の手作り工場」という中期経営方針が示す通り、この会社は、

・量産品を製造しない。

・値引き販売をしない。

・そのかわり、どんなに特殊なバネでも、どんなに少数でも、
企業でも個人でも決して注文を断らない(平均受注ロット5個)

という方針で、多くの他のバネ工場が自動化によるコストダウンを推し進めるなか、
手作り・高品質・小ロット(微ロット)でオンリーワンの地位を獲得することに成功しました。
渡辺社長の言葉、
「マニュアルで作る製品は『誰にでも作れる製品』。誰にでも作れるから、
そんなもん作っても中小企業は競争に勝てません。
マニュアル化できないのが誰にも作れない製品」。

さて、ここまでなら、たまに聞かなくもない事例ですが、ここから先がミソ。
あくまでも手作りで他社にできないオンリーワンな製品を作り出すわけですから、
いかに優秀な職人さんたちを育てるか、
確保するかが重要になることは想像に難くないのですが、
その職人さんたちが見事に笑顔で溌剌としていて、
クチを揃えて「職人として働くのに最高の環境」と言うのです。テレビだから?(笑)
いえいえ、とてもテレビ向けに作った発言には見えません、どなたも。

そこでまた渡辺社長の言葉。

「社長の仕事はいかに社員のモチベーションを上げるか、それだけ。
経営には奇策も裏技もない、社員のモチベーションを10%上げたら業績は上がり、
逆に10%下げたらすぐに会社は傾く。
自分の会社で働くことに満足していない社員が、
お客様を満足させられるわけがない。
なのでうちはお客様には申し訳ありませんが、お客様満足の前に社員満足です。」

具体的には、

・同規模の中小企業に比べてはるかに高い給料

・残業しない

・有給休暇を100%消化しないと上司の監督不行届(笑)

・スキルの高い職人さんが尊敬され、大事にされる制度と環境

渡辺社長は、この真理を経験から導き出されたのか、
あるいは
社員第一、顧客第二主義―サウスウエスト航空の奇跡」を読まれたのかはわかりませんが(笑)、
完全に同意します。国立大学、有名大学の
学生が入社を希望して毎年殺到するそうです。
見る目のある学生もたくさんいるんですね。
自分のときは会社の名前や規模で決めていました、、、、(笑)

「こんな会社にしたい」と思える東海バネ工業の話題でした。