AT修理します!|ピーシーエス
皆様のフォークリフトはスムーズに走る事が出来ますか?
もしそうでないなら修理が必要になります!
フォークリフトは重量物を運ぶので乗用車より駆動系の負担が大きいのです。
今回は後進が出来ないとの事で修理入庫した車両の故障探究を紹介します。
修理車両は4.5tのATガソリンフォークリフトです。
実際に症状を確認しながら修理して行きましょう!
前進は通常通り動きますが確かにレバーを後進位置にしても動きません!!
修理する症状が確認出来た所で故障探究に入ります。
①ATフルードの確認
フォークリフトのATは乗用車と同じようにATフルードを使う事によって作動します。
ATはATフルードの圧力を上げる事によりクラッチを繋ぎ
動力をエンジンからタイヤへ伝えます。
ですのでATフルードが劣化し能力が落ちてしまうとクラッチに
十分な圧力を掛ける事が出来ずに滑ってしまう事があります。
ATフルードは定期的に交換する事によって修理発生の確率を下げる事が出来ます!
今回の修理車両ではATフルードの劣化もあり、また金属の粉が多数入っていました(・・;)
②圧力の確認
先程述べた通りATは油圧を調整する事で動きます。
ATの油圧はプレッシャーレギュレーターと呼ばれる部品によって調整されます。
圧力を調べるにはAT側面にある圧力検出口に油圧計を取付け各シフト時の油圧を測ります。
測定結果、前進の油圧は規定値でしたが後進は規定値の半分以下の数値でした。
つまり油圧が低い事によりこの修理車両では後進出来ない事が分りました!
③各バルブの作動点検
プレッシャーレギュレーターによって調整された油圧は
それぞれのバルブによって流れを遮断したり方向を変えたりします。
このATにはインチングバルブとF/R用ソレノイドバルブが付いています。
インチングバルブはインチングペダルを踏むと油圧の回路を閉じ動力を遮断します。
F/R用ソレノイドバルブは油圧の回路を
前進クラッチと後進クラッチそれぞれに振り分ける役割を持っています。
今回の修理では後進ができない為、F/R用ソレノイドバルブが怪しいですね・・・
このF/R用ソレノイドバルブはAT上面についています。
良否判定方法はソレノイドバルブの導通を確認します。
結果なんと良好でした!
①~③より分った事は各部品の動作は正常なので
油圧回路が詰まっている可能性が高くなってきました。
④実際に分解してみました。
部品を外し終えた後、問題の後進用クラッチを見てみました。
上の二つの画像は正常なクラッチ板です。
溝もありディスクに曲りもありません。
下の画像を見てみましょう。
外側だけ減ってしまって金属が剥き出しになってしまっています!
しかも写真だと分かりにくいと思いますがディスクが曲がってしまっています!
今回の修理車両の原因が分かりましたね!
それはATの後進用の油路が詰まり正常な油圧が掛らない事により、
クラッチが滑ってしまった。それによってクラッチ板が熱を持ち
ディスクが曲がってしまい完全に動かなくなってしまったのです!
なぜ詰まるのかと言うと「急」の付く動作を行うとATに負担が掛り部品が削れ
そのカスが細かい油路を詰まらせてしまうのです!!!
事前に定期的なメンテナンスや修理を行なっていれば大丈夫でしたが、
こうなってしまっては簡単な修理では直らず高額部品の交換が必要になります。
また大掛かりな作業となるので修理に時間が掛り
お客様の仕事をストップさせてしまいます・・・
ATの修理が発生しない様にするには以下の事を守る必要があります。
①過積載をしない。
②きちんと暖気運転を行う。
③一つ一つの動作を停止させて行う。
この3つを守ればATという高価な修理を発生させる可能性を減らす事が出来ます。
ピー・シー・エスではATやエンジンなどの修理ももちろん承っております!
少しでも気になる事や修理について聞きたい事がありましたらお気軽にご連絡ください!
熟練のサービスマンが修理を行います!!!
それでは新しく買った車のホイールを変えたくてしょうがない
サービス一課の有賀がお届けしました。